馬の、あのフニフニした鼻の周りの感触にハマって35歳のときに乗馬を始めました。
妹に連れられて行った体験乗馬で、スタッフの方に「馬のココがすごく気持ちいいんですよー」といわれて触らせてもらったときのことです。
馬の鼻周りはほんのり温かくて福井県の銘菓「羽二重餅(はぶたえもち)」のように柔らかく、皮膚はまるでビロードのような感触、そして微かに干し草とナッツのような穀物の香ばしい匂いがします。
その体験乗馬の馬は、初めましての私にもおとなしくされるがままに触らせてくれる優しい馬でした。
馬は鼻腔の大きい動物です。
犬や猫と違って馬は鼻でしか呼吸ができないので、あのように大きな鼻腔をもっているのでしょう。
大きな身体を細い四本の脚で支えなければいけないので、脚は歩くためにしか使えません。
なので、馬にとって鼻先は「手」の役割としても重要で、鼻の下、上唇などもかなりよく動きます。
「ネェネェ」というようにこちらの気をひこうとするときなど、よくこの上唇でフニフニと触ってきたりします。
犬や猫を飼ったことがなく(大きな鳥はあるけど)これまで特別動物好きということはありませんでした。
でも私は、このとき馬のこの鼻先に恋をして、そのまま趣味としての乗馬を始めることになったのです。
体験乗馬であのスタッフさんが私に馬の鼻先を触らせてくれなかったら、私は体験乗馬だけで終わっていたかもしれないなと思います。
運命ってこういうことでしょうか。