子どもの頃の先生の影響ってすごく大きいものだと思います。
今から50年前、私は5歳の時、一家で引っ越しをしました。引っ越し先で途中入所できる幼稚園がなかったので、結局幼稚園へは行っていません。
「幼稚園は義務教育ではない」これが両親の出した結論でした。
6歳の春、小学校に入学しましたが、地元で幼稚園にも保育所にも行っていないのですから見知った友達はひとりもいません。
しかも早生まれなので、他の同級生たちより幼く、幼稚園に行ったことがないため集団行動の理解もできていません。
当時の幼稚園ではみんなひらがな程度は習っていたようです。
私は当然ひらがなも書けませんでしたから、今思えば担任の先生もさぞご苦労されたことでしょう。
給食の牛乳も少しも飲めませんでしたし。
そんな落ちこぼれの私をサポートしてくれたのが担任の「ささま先生」でした。
ささま先生は若い男性の先生で、私の記憶では当時独身だったのではないでしょうか。
給食で牛乳の飲めない私に、今日はこここまで飲んでみよう、明日はここまで飲んでみよう、と毎日元気づけてくれ、最後には1本まるまる飲めるようになりました。
七夕で、クラスごとに大きい笹竹に飾りや願い事を書いた短冊をつけるイベントがありましたが、そのときはささま先生は家から持ってきた「白ふんどし」を笹に飾りつけました。
当時は私の祖父もふんどし着用の過去がありましたから、ささま先生のお祖父さんあたりのものだったのかもしれません。
子どもはこういったことが大好きですから、みんなで大盛り上がりしました。
ささま先生は、図工の時間にも時々コンテストを開催してくれていました。
私は子供のころから絵だけは大好きでよく描いていましたので、よく入賞させてもらいました。夏休みに家族で行った海水浴で、父が海中で逆立ちをして足だけを出している図(今思えばほぼ犬神家)を描いたときも、とてもほめてもらったのを覚えています。
賞品はグリコのキャラメルで、子供たちはみんなこれが大好きでした。
こんな行事もよく開催してくれたので、入学当初は不安で嫌でたまらなかった学校へもだんだんと楽しく通えるようになりました。
今も昔もいろんなタイプの先生がいますが、先生の子供に与える影響はやはりすごく大きいものだと思います。
先生の方はあまり覚えていない些細なことも、子供はしっかり記憶しているのではないでしょうか。
先生を主人公にしたドラマや小説、漫画などが次々と生まれヒットするのも今さらながら納得です。