昨日は、大阪市内に出る用事があったついでに、中之島美術館で開催中の「福田平八郎展」に行ってきました。
福田平八郎は、明治生まれ、大分県出身の日本画家ですが、もの知らずの私はこれまで知らない作家さんでした。
ただ、「雨」という瓦屋根を描いた作品だけは、きっと何かの画集か教科書に載っていたのでしょうか、記憶にある作品でした。
同時開催のモネ展が平日ながらものすごい人気で、チケットの券売機がどちらの展覧会も同じ列に並ぶので、チケット購入まで30分もかかったのは想定外でした。
モネ展の方は入場までもすごい長い列ができていましたが、幸い福田平八郎展の方はすぐ入場でき、会場もゆったり見ることができました。
日本画は皆そうだと思いますが、福田平八郎は「写生」をとても熱心に行った人で、自らを「写生狂」と言ったようです。
京都市立絵画専門学校(現京都市立芸術大学)時代からとても優秀だったようですが、「とても絵が上手い」ために却って自分の絵の方向性に悩み、学生時代の作品から晩年まで様々なタイプの作品が展示されていました。
ただ、一貫して「ものをよく観察する」写生に重きをおくという姿勢は終生変わらず、一見抽象画にも見える作品もおびただしい写生の果ての集大成であることが感じられる作品群です。
図録に掲載されていたお孫さんである福田敬子氏の回想文では、
「お菓子や果物など、美味しいいただき物が多かったのですが、なかなか口に入らず、美味しいうちに食べさせてとお願いしていました。というのも、祖父は思い立った時にそれらを写生しだすからです。」
とありました。
私は、先日もワラビやタケノコのいただき物があった際にも、こうしたものは絵のモチーフにはもってこいなのですが、「描きたい」という気持ちと、「早く下処理をして美味しい状態でいただきたい」という気持ちのせめぎ合いです。
自然物は時間と共に移ろいゆくもので、だからこそ感動を呼ぶモチーフとなるのかもしれません。
学ぶことの多い展覧会でした。
ご興味のある方は、下記公式ホームページから展示作品を数点見ることができますので是非ご覧ください。
私が好きな「青柿」が前期展示作品で、今回実物に接することができなかったことが心残りです。
福田平八郎展は5月6日までの開催です。