昨日の映画『ブルーピリオド』の感想の続きになります。
実は私も過去に『藝大受験』した経験があります。
40年も前の話になりますが。。。
映画を見て感じたのが、美術予備校の講師が「絵の描き方」ではなく、「何を表現したいのか」を熱心に指導している姿でした。
私が受験生だったころは、絵の描き方は熱心に習いましたが、何を表現したいのか、ということを習った記憶がありません。
ひょっとして先生方はそのようなことを教えようとされていたのかもしれませんが、自分としては受験対策のためのデッサンにがむしゃらに取り組んだという記憶しかありませんでした。
私が受験したのは『日本画』です。
そのとき、「日本画が描きたい!」と思って日本画を受験したわけではなく、油画より倍率が幾分低かったからです。(それでも16倍でしたが)
一次試験の課題は、大きな白い紙が置いてあって、それを使って自由に立体物を作り、作ったものを鉛筆で素描する、というものでした。
二次試験は着彩写生です。モチーフはウズラの剥製、卵2個、和紙1枚でした。
一次試験でも紙は出たわけですが、二次試験の和紙については「自由に折ったり破ったりしてよい」と書かれていなかったので、これらのモチーフで「どう構図を組み立てるのか」途方にくれました。
平べったいモノばかりで高さがないからです。
今、藝大の公式サイトでは「入試情報」に過去の問題と出題意図が公開されています。
出題意図、つまりこの課題は受験生の何を確認したいと思っているのか。
当時の出題意図は今さらわかりませんが、ウズラの剥製は静物のモチーフとして描くのではなく『鳥』として画面構成する、というのもアリだったのかもしれません。
今なら、自分なりに素敵だと思うように楽しんで構想を練ると思うのですが、受験デッサンしか習ったことのない当時の自分としては大パニック。。。二次試験であえなく撃沈しました。
主人公がこの予備校でライバルに「君は本質を何も理解していない」(多少言い回しは違ったかもしれません)ということを言われるシーンがあります。
絵画の本質ってなんだろう。。?
結局「どう描くか」ではなく「何を表現したいか」ということかなぁ、と、今は思っています。