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小川未明のファンタジー「月夜と眼鏡」朗読におけるフォーカシングのテクニック

趣味で習っているオンラインでの朗読教室の発表会が12月に予定されています。先月から何を読むか色々と迷ったていたのですが、最終的に小川未明の「月夜と眼鏡」を読むことにしました。

小川未明
小川未明は「赤い蝋燭と人魚」で知られる明治15年新潟県生まれの児童文学作家で「日本のアンデルセン」ともよばれているそうです。

「月夜と眼鏡」は1922年に児童文学誌「赤い鳥」(リンク)に発表されました。

小川未明 - Wikipedia


物語のあらすじ
物語は深い緑に囲まれた静かで小さな街の、ある明るい月夜の晩、一人暮らしのおばあさんがランプの灯りで針仕事をしているところから始まります。

おばあさんが針仕事をしながら過去のことなどを色々と思い出してぼんやりしていたところ、眼鏡売りが現れて眼鏡を買ったり、指を怪我したという少女に化けた蝶が現れたり。

おばあさんはこれらの不思議現象を難なく受け入れて、「みんなお休み、どれ私も寝よう」といったところで終わります。

月夜と眼鏡を読んでみて
月夜と眼鏡は朗読すると全部で16分程度の短編なのですが、物語全体に現実と異世界の間を漂うような空気感があります。

もうほとんど荘子の「胡蝶の夢」の世界です。

初回レッスンでは、この物語の語り手の視点、現在地を定め、それをどのように表現するのかを学びました。語り手はまるでドローンのようでなければなりません。

町も、野も、いたるところ、緑の葉に包つつまれているころでありました。
 おだやかな、月のいい晩のことであります。静かな町のはずれにおばあさんは住んでいましたが、おばあさんは、ただ一人、窓の下にすわって、針仕事をしていました。
 ランプの灯が、あたりを平和に照らしていました。おばあさんは、もういい年でありましたから、目がかすんで、針のめどによく糸が通らないので、ランプの灯に、いくたびも、すかしてながめたり、また、しわのよった指さきで、細い糸をよったりしていました。

小川未明 月夜と眼鏡

 

 

高い位置から物語の舞台(緑に囲まれた町と野)を少しずつフォーカシングしていき、さらにおばあさんの家の窓からランプで照らされたおばあさんの針仕事をする手元まで、ゆっくりと焦点が合う感じです。

街と野を見下ろす位置が最も異世界に近いところ、おばあさんの手元が一番現実に近いところだとします。

読み手の位置は読むスピードを、ゆっくりから少しずつ早く変化させることで表現することができる、というテクニックを教わりました。

もちろん朗読表現のテクニックはスピードの緩急だけではないのですが、初回レッスンでまずはこれを教わりましたので、次回までに練習しておこうと思います。

自分自身どちらかというと「リアリスト」で、ドラマでタクシーを利用するシーンを見ていても「いつタクシー代払ったんや?」と気になってドラマに集中できないタイプです。

このようなファンタジー作品を朗読するのは自分にとってかなりチャレンジングですが、朗読にファンタジーは避けて通れない課題ですので、頑張って乗り越えたいと思います。

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