私の家の近くには小さな美術館がふたつあります。
ひとつは『大和文華館』。収蔵は東洋の美術品が中心で、絵画だけでなく陶磁器や漆工、染織などの工芸品も多く、年間を通じた企画展が開催されています。
もうひとつが『松柏美術館』。こちらは日本画家の上村松園さん、上村松篁さん、上村淳之さんと親子三代の作品を中心に企画展が開催されています。
今日は、『松柏美術館』での企画展『未来につなぐ日本画展 松柏美術館公募展優秀賞受賞作家の現在Ⅱ』を見に行きました。
上村一族の素晴らしい絵を鑑賞するのもいいのですが、公募展では様々な作家さんの様々な作品に接することができるので、とても勉強になります。
私は学生時代に油絵を専攻していたのですが、最近少し日本画のことを教えていただく機会があり今さらながらに日本画への興味が沸いてきたところです。
日本画、と聞くとどうしても古い時代の絵画のように考えてしまいますが、『日本画』とは明治時代に西洋からもたらされた油彩画と区別するために生まれた言葉であり、今では日本画の絵具を使って描いた作品は全て日本画と呼ばれます。
今日一般に使われている「日本画」という名称は、明治以降に、西洋から伝えられた油彩画と区別するために生まれたものです。つまり「日本画」と「西洋画(もしくは洋画)」の違いは、大雑把な言い方をすれば、描くために使用する素材の違いということになります。
今日、公募展の入賞作家さんたちの作品を鑑賞して「日本画ってとても自由な表現方法ができるものなんだなぁ」と改めて感心させられました。
今日特に私が個人的に心を奪われた作品は、大小の石がゴロゴロしている川辺を描いた作品です。
川の水は濃い群青色でフラットに塗られ、石たちは逆に無数のトーンのグレーで描かれた強いコントラストが印象的なものです。川原を歩く「ざりざり」という音が響いてくるような作品でした。
他にも印象的な作品がたくさんで、同行した連れ合いは「どれもこれもみんなええなぁ。全部好き!」とケーキ屋さんのショーケース前のような感想を漏らしていました。
松柏美術館はお庭も広くてちょっとした散策もできます。
大きな美術館の印象派やピカソ、エジプト展などの美術展などと違い、こうした小規模な美術館では、人も少なくゆったり時間をかけて鑑賞できるところがよいところだと思います。
入館料もそれほど高いものでもありません。
退職したら、色々な地域の小規模美術館を廻るのも楽しみにしています。