物心ついたときからお絵描きが大好きな子供でした。
新聞チラシの裏に鉛筆で色々な絵を描いて遊んでいましたし、時々母が女の子のイラストを描いてくれるのが、とても嬉しく、いつまでも飽きることなく描いていました。
そんな私ですので、中学、高校と美術部に属し、色んなコンクールにも出品して度々入賞もしていましたが、それほど特別なこととも思わず、ただただ好きなことをやっていたに過ぎません。
どちらかというと世間に疎く奥手なタイプでしたので、高校二年の終わりに進路を決めるときになって初めて「進学するなら美大に」ということになりました。
「美大進学なら受験用のデッサンを学ばなければいけない」という美術の先生のアドバイスで、一年上のやはり美大受験する先輩と同じ美大用の予備校「美術研究所」に行くことになりました。
学校以外のコミュニティーに参加するのは高校生の私には初めてのことで、ここから自分の世界はグッと広がりました。
受験の方は残念ながら希望の大学には受からず浪人、二年目もやはり失敗して最終的には自宅から通える美術系の短大に入学することになりました。
学費の方はなんとか両親が工面してくれましたが、学費以外、通学定期代や洋服、小遣いなどは全てアルバイトで賄う必要があったので、自然と学校から足が遠のき、卒業はなんとかできたもののギリギリの出席日数と悲惨な成績での卒業となりました。
いったいどうしたことでしょうか。
絵を描くことが大好きだった自分なのに、「絵を描くことが学業」になった途端に描くことが何となく楽しくなくなったってしまったのは皮肉なことです。
結局、自分にとってその程度の情熱だったのかな、とも思います。
そして卒業して勤めた会社でも「絵を描く(デザインする)のが業務」でした。
ここでは描いた絵は「作品」ではなく人様に買っていただく「商品」です。
ですが、やはり特別に興が乗るということもなく、とにかく「生活するために」とにかく描いていました。
その後はだんだんと、仕事の比重が描くこと中心から描くこと以外にシフトしていき、今では業務で絵を描くということは殆どありません。
こうなってしまった今ですが。。。
このごろ半世紀ぶりに自然と「絵を描きたいなぁ」という気持ちがフツフツと沸いてきています。
子どものころのように、無心にただ「描く」という目的のためだけに絵を描きたい、と思います。
今はわずかなすき間時間にデジタルで小さなお絵描きをしているに過ぎませんが、将来リタイアし自由になる時間ができたら、今度こそは何の役にも立たなくていいので、やりたいことを思いっきりやりたい、と目論んでいて、実は今から楽しみです。