なこのすけらいふ

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老鳥の介護 ワカケホンセイインコ

ワカケホンセイインコ(写真ACより)

10年前、我が家のペットであるワカケホンセイインコの「ぶぶちゃん」が20歳で亡くなりました。

ワカケホンセイインコとは
ワカケホンセイインコというのはインド、スリランカなどに分布している大型(中型?)のインコで、頭から尾っぽまで40センチくらい、鮮やかな緑色で首の回りに黒い輪っか模様があり、別名を「ツキノワインコ」とも呼ばれます。

近年、飼われていた個体が逃げ出して都市部で野生化して繁殖したワカケホンセイインコたちのことがテレビなどで時々ニュースになります。群れを成して生活するので鳴き声とフン害で害鳥として嫌われている、というイメージの強いインコです。

ペットとして飼う場合は鳴き声がかなり大きいので、飼育環境には近所への配慮が必要です。また、寿命が犬や猫よりも長いので、最後までちゃんとお世話できるか、自身のライフスタイルも考えてお迎えするのがいいでしょう。

我が家のぶぶちゃん
ぶぶちゃんの性格は、一言でいうと凶暴です。

餌と水を取り替えるためにカゴに手を入れたとたん、大きな赤い嘴で攻撃してくるので餌の交換はスピード勝負です。

一羽で飼っていたので、鳥かごの中に取り付けた鏡に映った自分をお友達にして、機嫌よく過ごしていました。

自己主張が強いぶぶちゃんですが、帰宅して真っ先に

「ただいま、ぶぶちゃん!お母さん帰ったよ!寂しかった?」

と声をかけると嬉しそうにバタバタして「キョエ、キョエ、キョエ…!」と止まり木を左右にいったりきたりしてそわそわ鳴き出します。

ご飯を心待ちにしていただけかもせれませんが…どうも自分も喋っているつもりのようです。私たちのこともきっと仲間のインコだと思っていたのでしょう。

 

ワカケホンセイインコはおしゃべりが上手な個体もいるそうですが、ぶぶちゃんはせいぜい「キョエ、キョエ、キョエ、ブブチャン!」といったところです。私たちがぶぶちゃん、ぶぶちゃんと話しかけるからでしょう。

リンゴや柿などの果物の皮をむいていると、真っ先に香りで気づくのもぶぶちゃんです。

すぐさまキョエキョエ鳴いて催促します。

「ぶぶちゃんリンゴ食べるやろ?今あげるわな」

「キョエキョエキョエ!」

剥いた皮をあげると嬉しそうにシャクシャク食べる姿は、やはり見ていて可愛く癒されます。

事情があって幼鳥のときにあまりかまうことができず、残念ながら手乗りインコにはできませんでした。

ある日、止まり木から落ちるようになった
インコは長生きで知られますよね。大型になるほど寿命は長いそうです。

ぶぶちゃんも20歳まで元気に過ごしましたが、ある時期から、止まり木からポトリと落ちてしまうことがありました。
どうも足の掴む力が弱まって、止まり木を掴んでいられないようなのです。

なにかの病気かな?

と気になり、でも鳥を見てくれる病院ってあるのかな?ぶぶちゃんはこれまで病気ひとつしたことがないので、かかりつけ医なるものがありません。

ネットで探すとありました。

その名も「小鳥と小動物の病院

ぶぶちゃんの鳥かごを毛布で覆って連れていくと、待合室には鳥はもちろん、ハムスターや、亀の患畜までいます。常連さんが多いようで、亀の点滴に来ている人もいました。

先生と助手さんは凶暴なぶぶちゃんに噛みつかれながらも全身を丁寧に診察し、なんと羽を広げてレントゲンまで撮ってくれました。色々診察していただき、「特にこれといって悪いところはなく、年齢的にも老衰かと思う」とのことで栄養剤をくれました。

私たちとしても多分老衰なんだろうなとは思っていましたが、本当に直前まで元気でしたし、急に止まり木から落ちるようになったので、もし直せる病気であれば、と思っての受診でした。
動物病院は高いものと覚悟はしていましたが、このときの診察料は1万2千円、犬や猫を飼っている人なら動物病院が高いのは当たり前かもしれませんが、我が家では初めての経験でした。

ぶぶちゃんの介護が始まる
すでに止まり木から度々落ちるので、病院で教わって鳥かごの下5センチくらいの高さで餌と水が届く位置に新聞紙を丸めて作った止まり木を設置しました。

この位置なら落ちて怪我をする心配はありません。

地面にいる時間も多いので、どうしてもお尻がフンで汚れてしまいます。

毎晩、ぶぶちゃんを鳥かごから出してお尻を拭いてあげることが日課に加わりました。

 

最初に書きましたがぶぶちゃんは凶暴です。
大きな嘴はほぼ「ペンチ」なので、咬まれないようにフェイスタオルで全身を包むようにして仰向けに保定し、水に濡らしたティッシュでこすらないように慎重に汚れたお尻を拭いていきます。

このときのぶぶちゃんは気持ちいいのかおとなしくされるがまま。
首の下をマッサージしてやると目を細めてゴロゴロしています。

お尻の清拭が済むと部屋の絨毯の上に放して、大好きなヒマワリの種をあげます。
ヒマワリの種は脂肪が多いのであまりたくさんはあげられないのですが、ぶぶちゃんはこのヒマワリの種が大好きでした。

度々絨毯の上に粗相をしてしまうのですが、もうこればかりは仕方がありません。そんなことより、残り少ないぶぶちゃんとの時間の方が大切でした。

介護の終わりに
このようにぶぶちゃんの介護を始めて数ヶ月が経ち、あるとき血便が出始めて一週間後ののある朝、ぶぶちゃんは鳥かごの中で動かなくなっていました。

鳥とはいえ、今まで一緒に暮らしてきた生き物がいなくなるというのは、とても寂しいことです。

我が家でのぶぶちゃんの存在を現す言葉を私は上手く見つけられません。ただ、我が家で過ごしてくれてありがとう、存在してくれてありがとう、という気持ちでしょうか。

あれから10年経ちましたが、我が家ではまだ新しいペットはお迎えしていません。

またいつか、という気持ちもありますが、ペットにとって我が家で暮らすことが幸せなのか、などと考えだすとなかなか決心はつきません。いつか気持ちの落ち着きどころが決まったらまた飼いたくなるかもしれません。